「果ての日、山より来たるは、」エンディング

劇団21世紀枠のマーダーミステリー「果ての日、山より来たるは、」のエンディングシートです。
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エンディング


除霊投票の場合


〇オコジョが桃を食べた

不本意ながら、投票結果なら仕方がない。オコジョはそう思い、桃を口にした。

思ってたより甘くないな、桃ってどうしてこうも甘さの当たり外れがあるのか、まあいい。これを食べてすぐに逃げだせば、鬼女に追いつかれることなくこの山域からは逃げられるのだから……そういえば、サシミの遺体も鬼女を足止めしてくれるかもしれないな。

――目の前でマトンとモズが何かを話している。

さてあと一口で終わりだ。

――マトンが片足をあげた妙なポーズをとる。

それにしても、霊験あらたかなのはいいけどこの味はどうにかなんないかしら。

――マトンがモズの足をつかみ、そのまま宙へすくい上げ、床へと叩きつけた。

まずった。オコジョはとっさに手元の桃の種をマトンへ投げつけ、そのまま脱兎のごとく逃げ出した。

息も絶え絶えになりながら車までたどり着く。振り返れば、そこには深い雪に閉ざされた山が悠然とたたずむのみであった……

オコジョ、マトン、生還。


〇マトンが桃を食べた

投票の結果が出た瞬間、マトンは逃げ出そうとした。

マトンが片足をあげ、本来の力を出そうと踏ん張った瞬間、モズに軸足を払われ、体勢が大きく崩れる。

間髪入れず、オコジョは手に持った桃をマトンの口の中に押し込む。

桃から奇妙な煙のようなものが噴き出し、マトンを包み込む。

マトンの身体が小刻みに震え、ひときわ大きく痙攣したあと、動かなくなる。

オコジョが頬をはたくとマトンは目を開けた。

「いやあ、妖怪に身体を乗っ取られるなんていい経験できましたよ。ほんと心霊研に入ってよかったなあ」

マトンは立ち上がると服についたほこりを払った。

「じゃあ、逃げましょうか。僕、まだ死にたくないですし」

オコジョ、マトン、モズ、生還(ただしマトンは「生存する」の得点無し)


〇モズが桃を食べた

モズは不承不承だが桃を口にした。

「うわ、まっず」

全然甘くないじゃん、この桃。でもまあ、それはいいや。あたしが呼び起した妖怪が暴れるなら、そろそろ頃合いだと思うけど。桃があたしの手元にある以上、どうにでもできるってもんよ。てか、オコジョ先輩はどこからこんな霊力高いアイテム持ってきたんだか。

「種はあたしが持っててもいいですか?」

一応、桃の霊力があたしの手元にあるのをアピール。

マトンが、片足をあげて妙な姿勢になる。お、くる? くる感じ?

右手の中。桃の種。べとべとで気持ち悪い。とはいえ、勝負は一瞬。フィジカルじゃあっちが有利、思考を巡らした次の瞬間、マトンは片足だけで飛び跳ねながら山小屋の扉を破ってそのまま雪山の中へ消えていった……

「あー。オコジョ先輩が悪いんすからね。マトンに桃を食べさせとけば、あいつも正気に戻ったかもしれないのに。でもま、ひとまずあたしらも逃げましょか」

オコジョ、マトン、モズ、生還。



生贄投票の場合

〇オコジョが生贄になった場合

狼狽するオコジョの肩をマトンとモズが無表情なままつかむ。

「え、ちょ」

そのまま二人分の体重でオコジョは床に叩きつけられた。

「オコジョ先輩が言い出したことですからね」

モズがオコジョの首根っこを押さえつける。マトンは無言のまま、ズボンからベルトを抜き取ると、オコジョの両手両足をひとまとめに縛り上げる。

二人は絶叫するオコジョを山小屋の軒先まで引きずりだすと、一度戻り、今度はサシミの遺体を軒先へと放り出した。

「それじゃあ、幸運を祈ります。うまくすればサシミ先輩だけでお腹いっぱいになってくれるかもしれませんよ」

そう言い残して、モズとマトンは走り出した。

手足を自由にしようともがくオコジョに鬼女の笑い声が迫る――

マトン、モズ、生還。


〇マトンが生贄になった場合

まずい。そう思い、片足を上げた瞬間に軸足に鈍い衝撃が走り、見る間に地面が近づいてくる。

足を払われたことを理解した時には、肩甲骨と太ももの上に二人が馬乗りになっていた。

力さえ戻っていればこんな奴ら……!

思いもむなしく、数分のうちにマトンは両手両足を縛り上げられ、山小屋の前の雪上へと放置されていた。

鬼女の笑い声が迫る。あの鬼女は多分、この体の中に取り込んだ霊石を取り戻すために洞窟から出てきたのだろう……

深い眠りについていたところを、手前勝手に呼び起されて、手前勝手に生贄にされる……かつて神から妖怪へと身をやつしたのも、人間どもの手前勝手で信仰が失われた為だった。

度し難いな。マトンはあがくことをやめ、運命を受け入れた。

オコジョ、モズ、生還。


〇モズが生贄になった場合

「ごめんね。モズちゃん」

オコジョはそう告げると、モズのみずおちへ拳を叩き込む。

息ができずその場に崩れ落ちたモズをマトンがベルトで縛り上げる。助命を嘆願するモズの声が一面の銀世界に響き渡る中、ドサッという音と共にサシミの遺体がモズのすぐ横に投げ捨てられた。

「あとは交渉力だよ! モズちゃん! サシミちゃんの死体だけで満足して帰ってくれるかもだから! グッドラック! あ、ちょマトン。待ってよ! 先に逃げるのずるいって!」

雪を踏みしめ走っていくボスッボスッというどこか間抜けな音が次第に遠ざかっていく。

鬼女の奇声の調子が変わり、けたたましい笑い声となった。

オコジョ、マトン、生還。


〇同票となった場合

「もう時間がないんだよ! こうなったら、生贄はあたしが決める!」

オコジョがヒステリックに叫んだ瞬間の事だった。片足立ちになったマトンの右手がモズを、左手がオコジョを掴み、力任せに床へと叩きつけた。

したたかに背骨を打ち付けて動けないでいるモズの耳に入ってきたのは何かが折れる鈍い音とオコジョの悲鳴だった。

どうにか顔を上げたモズの瞳に片目を閉じた無表情なマトンの顔が映り込む。

マトンはモズの足を掴むと、力任せにその骨をへし折った。

二人の悲鳴を背にしながら、一本だたらは山小屋を後にした。

山小屋へ鬼女の笑い声が迫る。

マトン、生還。

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